2018年10月13日

ボクたちの弱さ

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悲劇のヒロイン、悲劇的結末、悲劇が襲う…。

悲劇という言葉はいろんな形で用いられます。

この「悲劇」という言葉、ギリシア悲劇が由来です。

メデイアはただ怒り(情念)に駆られて「子供殺し」という悲劇を生み出すのではありません。

それは理性との激しい葛藤の末になされた行為でした。

してはならないという認識があった上での行為でした。

この認識こそがメデイアを真に悲劇的人物にするのです。

無意識の行為は単なる罪深い行為に過ぎません。

自覚した上でなおもなされた行為であるからこそ、それは悲劇的行為となり、メデイアは悲劇的人物になるのです。

わかっていながら、メデイアはどうすることも出来ない。

ボクたちはここに人間の理性の限界を見ます。

人間存在の悲しさを感じます。

メデイアの限界はボクたちの限界であり、メデイアの弱さはボクたちの弱さなのです。

公演初日まであと4日。ご期待ください。

 

写真は林英世さん。関西演劇界が誇る宝です。


posted by tanaka at 10:32| Comment(0) | あっかんベェ〜、Japan!

2018年10月12日

コリントス、ええとこ、一度はおいで。

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ギリシアと言えば、何を思い浮かべますか?

まずは、オリンピック。「オリンピア」と町が発祥の地です。

それから、スパルタ教育。「スパルタ」という町で行われていた教育方法のことですね。

それに、「アテネ」。ギリシアの首都、パルテノン神殿がありますね。

他にも色々あるでしょうが、でもそれほど多くは思い浮かべられませんよね。

日本からははるか遠い国ですし。

 

今回の『メデイア』の舞台は「コリントス」という町が舞台です。

どんな町なんだろうかと、調べてみますと、山形治江先生の本にこう書かれていました。

*コリントスは(古代)ギリシア第一の商業都市として繁栄を極めていた。

*コリントスが栄えた理由は地理的条件にある。

ギリシア本土とペロポネソス半島をつなぐ陸路の接点。

イオニア海とエーゲ海をつなぐ海路の交差点。

「コリントス地峡」とよばれる通路があり、通行税でコリントスは莫大な利益を上げた。

*コリントスには周辺の国から小麦、パピルス、象牙、絨毯、ナツメヤシなど物と人とが集まる国際都市だった。

*コリントスは金と性、贅沢と悦楽に満ちた町として古代世界に知られていた。

 

一方、メデイアの元夫イアソンの故郷「イオルコス」は自然豊かな、農業と漁業の町。

イアソンは、イオルコス市民の反感を買い、メデイアと二人の子供を連れて、イオルコスからコリントスに流れてきました。

大都会コリントスを目にしたイアソンはさぞかし「ええ町や! 最高やないか!」と喜んだのでしょう。

田舎から東京へ出てきたような感じでしょうか。

町には綺麗なお姉様もたくさん居たでしょう。

都会生活を満喫しているイアソンが思い浮かびます。

そんなイアソンのもとへ、逆「玉の輿」の縁組みが舞い込みます。

ついつい誘惑に負けてしまうイアソンの気持ちもわからなくもないです。


『メデイア』はほんとによく書かれた人間ドラマだなと思います。

公演初日まであと5日。ご期待下さい。

 

──写真の女性は東出さん。踊りと振付をお願いしています。

作品に新しい風を吹き込んでくれています。


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2018年10月10日

あふれんばかりの愛情

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ギリシア悲劇と現代劇の違いって何ですか? と聞かれたことがあります。

大きな違いは「合唱隊」という存在の有無だと思います、と答えた記憶があります。

合唱隊(コロス・コーラスとも言います)。

ギリシア悲劇では、合唱隊が3名×4列の12名か、3名×5列の15名で構成され、詩(セリフ)を歌ったり、舞ったりしていました。

合唱隊はギリシアの神々に詩(セリフ)を投げかけたり、観客に訴えたり、登場人物たちに語りかけたりします。

現代劇に慣れたボクたちには、馴染みの薄いものかも知れませんね。

しかし、合唱隊が存在することによって、ボクを含めた観る側の人たちは物語を客観的にとらえ、自分たちの生きる社会と重ね合わせ、自分たちの生き方や考え方を再認識することが出来るのです。

ブレヒトで言うところの異化効果ですね。

今回の清流劇場では、4人の女優さんにこの合唱隊をお願いしました。

昨日は通し稽古でしたが、合唱隊長のあふれんばかりの子供への愛情を聞くと、それはもう涙なしにはいられませんでした。

前回に続いて、ご出演いただく日永貴子さんが「合唱隊長」です。

公演初日まであと7日です。ご期待ください。


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2018年10月09日

想像し、感じる。

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ギリシア悲劇では、人が殺されたり、自殺したりすることがあります。

しかし、具体的に舞台上では行われません。

死に様はそれを目撃した「使いの者(メッセンジャー)」などによって描写されます。

おそらく、当時(約2500年前)のギリシア人はそのような具体的な行為を見せることや、見ることを好まなかったのだと思います。

あくまで、語られる中で「その死」を想像する。

でも、その方が良いかも知れませんね。

想像する方が、一層広がりをもって、その世界観を感じられますもんね。

今回、清流劇場初出演の立花裕介さんが、この「語り」に挑戦してくれています。

公演初日まであと8日です。ご期待ください。


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2018年08月06日

MEDEA / Euripides メデイア / エウリピデス

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皆様
暑中お見舞い申し上げます。
清流劇場10月公演のチラシが出来上がりました。
今回はギリシア悲劇『MEDEA メデイア』を上演します。
詳しくは清流劇場ウェブサイトをご覧ください。
この夏はあれこれ演出プランを練りながら過ごしています。
お楽しみに!
posted by tanaka at 12:24| Comment(0) | あっかんベェ〜、Japan!